3mm

3mm径リフィルの互換性

JIS S 6039:2020では形式記号BEFなど、外径3mm前後(規格上はいずれも2.9~3.2mm)のリフィルがいくつか定義されているが、それ以外にも様々な長さの物があり、全長が.数mm程度の違いであれば入れ替えて使える場合がある。ただし、後述のようにノック式の場合はいくつか注意点がある。また3mm径とは言っても厳密にはゼブラやサクラクレパスは2.95mm程度、パイロットは3.07mm(カタログ表記は3.1mm)と若干の差異があり、キャップ式や単芯ノック式の場合はあまり問題にならないが、多色・多機能軸ではパイプの内径の差できつくて入らなかったり緩くて抜けてしまったりすることがある。例えばゼブラのプレフィール軸に三菱鉛筆やパイロットのリフィルを入れようとすると緩くて抜けてしまうが、サクラクレパスのR-NOBはしっかり固定できる。ノック式でもパイロットのダウンフォースのようにリフィル後端を固定して加圧するものでは、ほとんどの他社製リフィルはパイロットより外径が細いため、緩くて十分に加圧できなかったり抜けてしまったりする場合がある。逆にゼブラのウェットニーではゼブラ K芯やサクラクレパス R-NOBは問題なく固定できるが、外径3.00mmの多くの他社製リフィルは若干きつく、3.07mmのパイロット製リフィルはかなりきつい。
またペン先径(チップ径)も形式記号B、E、Fでそれぞれ2.28(±0.04)mm、2.25(±0.03)mm、2.3(±0.03)mmと微妙に違い、規格にない長さでは明確な規定はないため、ノック式では口金がよほどタイトでない限りまず問題にはならないが、キャップ式ではチップが口金を通らなかったりわずかにガタついたりする場合がある。同一メーカーで長さが異なるリフィルごとに直径の異なるチップを用いるとは考えにくいので、一般論として、油性ボールペン用のロング芯が形式記号Eに該当するメーカーのペン先径は2.25mm前後と細めで、形式記号Fに該当するメーカーのペン先径は2.3mm前後と推測できる。前述の日本筆記具工業会の油性ボールペンレフィル(替芯)互換表にはペン先外径が0.01mm単位で記載されており、3mm径のリフィルについてはゼブラがペン先外径2.25mm、三菱鉛筆、ぺんてる、パイロット、セーラー万年筆、シヤチハタ、トンボ鉛筆、ステッドラー、プラチナ万年筆、OHTOは2.30mmとなっている。

(単位:mm)
形式記号 全長 OHTO サクラクレパス セーラー ゼブラ トンボ パイロット プラチナ ぺんてる 三菱鉛筆
H 57.0     18-5130            
58.0         BR-SF        
67.0     18-0058            
70.0 No.705NP                
73.0               BGRNS3H  
79.6 No.F5NP                
87.5         BR-CL1
BR-CLE1
       
87.6         BR-CAE2        
87.7           BTRF-8EF/6F     SXR-80
SXR-203-28/38
SXR-ML-05/07
SXR-L80-05
S-7S
S-38S
88.0     18-0055
18-5253
18-1067
  BR-CS2 LHSRF-8C3/4 BSP-60S    
88.2 No.891                
88.5 No.893/895/897NP
R-35A5/7
               
89.8       SK芯          
89.9       SNC芯          
90.0   R-OBC60              
93.3           LPTRF-10S43      
97.8           BSRF-8B/8BB      
B 98.0   R-NOB
R-NOB04
  UK-0.5     BSP-60
SBSP-80A
   
98.2       K芯4
UK芯
EK芯4
NJK芯
CEK芯4
      BXS3/5/7
BPS7/10
BKS7H
LRN5H
 
98.3         BR-BS
BR-BSL
       
98.5 No.995/997NP
No.997NPS
G-95NP
G-95NPS
        BKRF-6F
BSRF-8EF/6F/6M
BVRF-8EF/8F
     
H 98.6                 S-7L
98.8                 SXR-894
UMR-1093
107.0             BSP-60F BXM3/5/7H  
116.5 No.175/177NP                
121.0     18-0062           SA-5/7/10/14CN
E 139.0       SH/H/LH芯     BSP-60K    
139.5     18-0053            
140.0 No.47NP                
F 143.3               BKL10  
143.4 No.615                
143.5         BR-NF BPRF-8EF/6F/6M   BKL5/7
BKLN5/7
SA-5/7/10/14N
143.6           BPRF-8B/8BB      
143.8 No.805/807NP                
1) 実測値。カタログ表記の全長は88mm
2) 実測値。カタログ表記の全長は88mm
3) 公式サイトに掲載の公称値
4) 実測値。カタログ表記の全長は98.0mm
5) 実測値。カタログ表記の全長は98.6mm

一部のメーカーでは多色・多機能軸の軸径を細く抑えるため3mm径より一回り細い2.6mm径のリフィルを採用しており、他の3mm径のリフィルとは互換性がないが、この3種のリフィル同士は互換性がある。また、内径が一般的な3mm径のリフィルより狭いため、ゼブラのサラサセレクト等には使用することができる。

SLIM
メーカー 製品名 替芯名称 ボール径 全長 外径
ぺんてる カレン 多色ボールペン BKSSN5 0.5mm 98.8mm 2.6mm
ローリー 多色ボールペン BKSS7 0.7mm 98.4mm
サクラクレパス SLIMO R-NOBH 98.0mm

サクラクレパスのボールサイン4*1用R-GBH04やボールサインiD 3C用R-GBHN04も、R-NOBHと同寸法で互換性がある。

ノック式用リフィルの注意点

ノック式用リフィルのクリンプ(スプリング止めの突起)の位置は、全長98.2mm前後の形式記号Bではペン先から21(±2)mmと定められており、各社おおむねこの位置にクリンプが設けられているが、全長107mm程度のプラチナ BSP-60Fやぺんてる BXM5/7Hでは、ペン先から30mm以上後ろにクリンプが設けられている。これは、全長106.8mm前後の形式記号A1ではクリンプの位置がペン先から33.4(+0.5 -0)mmと定められているのに倣ったものと思われる。OHTOのNo.997NPSは、全長98.5mmと形式記号Bの長さながらクリンプの位置はペン先から30mmほど後ろに設けられており、スプリングを長いものに交換しないと他の形式記号Bのリフィルを使うノック式軸では使えない場合がある(同社のG-95NPSも同様)。

上からサクラクレパス R-NOB、ゼブラ K-0.7、トンボ BR-BSL、パイロット BSRF-6F、プラチナ SBSP-80A-F0.7、ぺんてる BPS7、三菱鉛筆 S-7L、OHTO No.997NPS、ぺんてる BXM5H、BIC替芯 BP0.7(形式記号A1)
3mm-RT

リフィルの中には単色のノック式用と多色・多機能用共用のものがあり、同じ型番でも形状が微妙に異なることがある。例えば三菱鉛筆のS-7Lはノック式のNO.550に入っているものにはクリンプが付いているが、多機能ペンのクリップターンに入っているものにはクリンプが付いていない。そのため、NO.550に入っているS-7Lをクリップターンで使うことはできるが、クリップターンに入っているS-7LをNO.550で使うことはできない。替芯として販売されているS-7Lにはクリンプが付いている。ゼブラの多色・多機能用リフィルとして広く使われているSK芯も、多色・多機能軸に最初から入っているものにはクリンプが付いていないが、替芯として販売されているSK芯にはクリンプが付いていた。しかし2018年7月から仕様変更によりクリンプがなくなったため、タプリクリップ0.4のようにリフィル後部を固定する方式のものを除きノック式軸で使えなくなっているので、注意が必要である(⇒お客様相談室「替芯「SK-0.7芯/SK-0.4芯」が手元のボールペン(本体)で使えなくなってしまいました。芯の突起(出っ張り)が無くなったのはなぜですか?」)。加圧式のウェットニーはリフィル後部を固定する方式のため、最初から入っているK-0.7芯にはクリンプがなく、替芯として販売されているK-0.7芯とは異なっている。
S-7L

中にはクリンプの有無で型番が違う場合もある。例えばゼブラのUK-0.5芯はジムニースティック0.5(※廃番)に入っているものにはクリンプが付いておらず、替芯として販売されていたUK-0.5芯(RUK5)にもクリンプは付いていない。しかしノック式のジムノックUK0.5に入っているUK-0.5芯にはクリンプが付いており、替芯もUK-0.5A(RUK5A)として異なる型番で販売されている。UK-0.5Aをジムニースティックで使うことはできるが、クリンプのないUK-0.5をジムノックUK等で使うことはできない。一方でUK-0.7芯は替芯(RUK7)にもクリンプが付いており、UK芯の中でも統一されていない。
スラリ多色・多機能用のEK芯の場合は、スラリ エアーフィットグリップ用のクリンプがついた替芯はCEK芯として異なる品名・型番となっている。クリンプの有無以外にEK芯とCEK芯に違いはない。

UK-0.5

パイロットの場合、BSRF芯はノック式用及び多色・多機能用リフィルとして広く使われているが、例えば0.5mmのBSRF-8EFの場合、レックスグリップ(極細)に入っているものにはクリンプが付いているが、フィードGP極細に入っているものにはクリンプが付いていない。替芯として販売されているBSRF-8EFにはクリンプが付いている。一方で0.7mmの場合レックスグリップ(細字)にはクリンプの付いたBSRF-6Fが入っているが、スーパーグリップG 2・3・4にはBKRF-6Fという異なる型番のクリンプの付いていないリフィルが入っている(⇒よくある質問と回答「替芯のBSRF-6FとBKRF-6Fに互換性はありますか?」)。BSRF芯は0.5mmから1.6mmまで揃っているが、クリンプのないものに異なる型番が付いているのは0.7mmだけである。
BSRF芯と同サイズのアクロボール2・3・4BVRF芯の場合、単色ノック式のアクロボールはサイズの異なるBRFV芯を使っているため、多色軸専用となり替芯にもクリンプは付いていない。そのため、BSRF芯と互換性のあるノック式軸をアクロインキ化しようと思っても、BVRF芯を利用することはできない。

セーラーの場合18-0055はノック式用及び多色・多機能用リフィルとして使われているが、例えばフェアライン6に購入時に装着されている18-0055にはクリンプが付いていないが、替芯として販売されている18-0055にはクリンプが付いている。一方同じフェアライン6に装着されている18-5253は多色・多機能軸専用となっており、替芯として販売されている18-5253にもクリンプは付いていない。

ノック式でも三菱鉛筆のクリフターやゼブラのタプリクリップ、パイロットのオプト/パティント、ぺんてるの.eボール/スーパーぺんてる等、キャップ式用のロング芯を使うものはリフィルの固定方法が違うためクリンプは不要で、リフィルの形状もキャップ式用と変わらない。

  • 最終更新:2024-03-22 01:33:12

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード